しゅー太の奇譚回想記

興味の赴くままに、風のようにふらふらと

鉄道日本一周-<北陸編>② 福井(永平寺)

こんにちは、しゅー太です。

 

ブログ熱が戻り始めてから仕事と勉強が手に着かないので、

ひと段落つけないとまずそうな気配がプンプンします・・・。

 

前回は朝一で氣比神宮を訪れたところまで書きました。

敦賀駅を出発して福井駅へ向かう所からスタートです。

 

[1日目:2018年7月28日(土)]

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初手から全力の挨拶が僕を迎える

「なんだこいつは・・・」

敦賀駅のホームの椅子に我が物顔で腰を掛けている恐竜?の像に思わず声が出てしまいました。

白衣を着て化石を見せつけてくるこいつの名前は「恐竜博士」と言うらしいです。

2015年に敦賀駅の他に芦原温泉駅福井駅といったJRの駅に設置されたとのこと。

ちなみに恐竜博士が座っているこの椅子は「ダイノベンチ」という名称がついていました。どうでもいいね!

 

何故、このようなものが設置されているのかと言うと福井県は恐竜と大変関係のある県だからという他にありません。

その歴史は1982年に中世代白亜紀(1億4500万年前~6600万年前)前期のワニ類の全身骨格化石が見つかったことから始まります。要するに恐竜が生きていたと考えられる時代の地層から化石が見つかったということですね。

その後、福井県は約30年以上に渡って化石調査を続け、その間に6体もの新種の恐竜が発見されています。(勿論その恐竜たちには福井県の地名が入っています。)

凄いですね!

またそれまでの化石調査の実績から、国内最大級の地質・古生物学博物館として、福井県立恐竜博物館が2000年に設立されました。

 

福井県としてはその恐竜を全面に押し出して観光地アピールをしているという訳ですね。適当な紹介をしてごめんね。でも中々威圧感あって隣に座る気にはなれなかったよ。

まぁ、今回は恐竜博物館には寄らないんですけどね。

最後まで迷ったのですが、この時恐竜あんまり興味なかったのが如実に表れていますね。沢山解説したし、次福井訪れたときは必ず行くから許して・・・。

 恐竜博士にはここでも会えるので、訪れる人は駅での別れを悲しまなくて大丈夫ですよ!

ひとまず恐竜博士とはオサラバして、福井駅へ向かいます。

時間は大体1時間ほどで到着します。

ちなみに、この当時敦賀駅福井駅にはまだ改札がありませんでした。

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ロールアウト直前の改札が今か今かと始動の時を待っています。

2018年9月になり両駅で使用され始め、ようやくJR西日本管轄の中で最後の自動改札機のない県を脱出することとなりました。ちなみに合わせてICカードICOCAも使用できるようになり敦賀福井駅の他に17駅で使えるようになったとのことです。

とりあえず主要駅ではICOCAが使えるようなので、これ一枚でも移動できるようになったなり一安心できるといったところでしょうか。

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福井駅。壁には恐竜が。

写真には写っていませんが、駅前には巨大な動く恐竜のオブジェが配置されています。

ここまで恐竜が侵食しているプッシュされている県は他にないんじゃないですかね。

まさに恐竜の国って感じです。

 

さて、福井駅まで来たわけですが、ここは経由地点にすぎません。

次の目的地、永平寺へと向かいます。

 

移動方法は鉄道ではなくバスを使用します。

補足しておくと、永平寺までは「えちぜん鉄道」というローカル線が福井県にはあり、こちらを使用し、永平寺口駅という駅まで移動した後、バスで永平寺まで向かう方法があります。

www.echizen-tetudo.co.jp

ただ、今回はバスを使用した方がすぐに出発でき、早く着くことができるので、バスを選択しました。バスは「永平寺ライナー」という30分ほどで向かうことのできる便利なバスを使用しました。(下記リンクから時刻表へ飛ぶことができます)

bus.keifuku.co.jp

このバスに乗るためには乗車前に乗車券を「バスチケットセンター(リンク貼ってます)」で購入する必要があるので、その点だけ注意してください。

ちなみにバスはリムジンバスったので、「あれ?普通のバスじゃなくてこれでいいの?ほんと?」と何も知らなければ少し不安になるかもしれないですね。僕はなりました。

乗車券を買ったらバスへと向かいます。(バス乗り場もチケットセンターも東口にあります。)

チケットセンターの場所がわからなければ、西口を出てすぐにある観光案内所を訪れるといいでしょう。バスの時刻表など必要なものはここで調達することができます。

 

10時半ごろ永平寺門バス停に到着。

バス停から永平寺までは5分位歩くことになります。

ちなみにここの凄いところは、永平寺に行くまでの道が商店街(まぁお土産とか売ってるところ)になっているんですが、なんとwi-fiが通っているんですよね。(ただ永平寺の中にはないんですが。。。)

こういった地方の方が快適さの面で発達してるんですよね。

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永平寺曹洞宗鎌倉時代に成立した仏教)の大本山で、曹洞宗の開祖でもある道元がこの寺院を1244年に開きました。曹洞宗とはざっくりふんわり解説すると「ひたすら座禅を組めば悟りを開ける(只管打坐)」を特徴とした仏教です。

ご本尊は釈迦如来弥勒仏・阿弥陀如来です。

元々道元は「天台の教えだと、人は生まれながらに本来悟っているはずなのに、厳しい修行をしなければ悟りが得られないのはおかしい」という考えの持ち主でした。

答えを見つけるために臨済宗栄西の弟子に師事しましたが、答えは見つけられず本場である中国へ渡り、仏法を学びました。そして帰国後少しごたごたがあった後、永平寺を開くに至りました。

 

ちなみに永平寺と並ぶ曹洞宗大本山が神奈川県の横浜市にあるので、「時間も金もない上に遠すぎて福井まで行けねぇよ」と言うそこのあなた。こちらがおすすめです。

總持寺(そうじじ)

大本山=中心寺院なので一つとは限りません。興味があれば「本末制度」で調べてみてください。江戸時代に成立した制度です。

 

以下、こんな感じの雰囲気の場所です的な紹介。

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永平寺の建物までの道

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さぁ行きましょう

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天井のマス(?)ひとつひとつに花の絵柄があります。

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道元を祀っている御廟

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山門の下から

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山門に祀られている守護神である四天王。南方増長天(左)と西方広目天(右)

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反対側。北方多聞天(左)と東方持国天(右)

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こんな感じで永平寺を見回ってきました。いやー楽しかったです。
永平寺は見どころも多く、広い敷地を歩くことになるので、

余裕をもって拝観に1~2時間くらいは見ておいた方がいいと思います。

観光時期は夏でしたが山の中だったので、そこまで暑くなかったです。

 

余談ですが、永平寺の一部はまるで旅館かと思うような場所があるので、

実際に目の当たりにするとギャップに驚くかもしれません。

まさかエレベータがついてたり真っ赤なカーペットが引かれてるとは思わんやん・・・。

 

そんなこんなで1時間ほど滞在して、次の観光のため移動します。

ひとまずバスを利用して、えちぜん鉄道の駅である永平寺口駅へ出ます。

このままえちぜん鉄道を使用して勝山という場所へ向かうところから次回は始めて行きたいと思います。

 

 

意図してないのになぜか観光地ごとの記事になってる。

なんか完結する気がしねぇ・・・。

 

 

鉄道日本一周-<北陸編>① 福井(敦賀)

こんにちは、しゅー太です。

約3か月振りの更新となりました。

 

昨今は新型コロナが世界的大流行を見せ、行動に自粛が求められたり遊びに行こうにもお店が営業していなかったりで、窮屈な感じですが仕方ないですね。

こんな時だから、過去の思い出を振り返り、

気持ちだけでも解放されたいなと思ったので久しぶりに触りました。

(他にすることが制限されたし、今戻らないと一生ブログ再開しない気がしたのである意味助かった。)

 

さて今回は福井や富山など北陸を中心に巡っていきます。

時期は2018年7月27日(金)~8月1日(水)の6日間。

もともと2019年のGWに実施した四国巡りをここでやろうと思っていたのですが、直前に起こった西日本を中心とした豪雨による土砂災害などにより、多くの路線が断線してしまったこと、被災地となって復興に尽力されている方々いる中で、ぶらぶら観光できるほど図太くもなかったので、時期を見送りました。

今思い出しても、あの当時の雨量は劇的だったと思います。2019年はそこまで多くなかったので、もう少しバランスとってくれ神様・・・。

せっかくなので詳細も→平成30年7月豪雨 - Wikipedia

 

というわけで、急遽プランを変更し、北陸へ行くことにしました。

休みもまとめてとっていたのと、四国に行く手段を先に抑えていたので、それを活用できる場所が限られていたことも決めての一つでした。

一つ難点があるとすれば、北陸はJRではなく基本第三セクターでの移動となるので、18きっぷ等のJRのフリーパス系のきっぷが使えないことですね。それぞれの会社でフリーパスはあるようですが、移動のタイミングもあって今回は特に利用しませんでいた。

というか下調べが足りなくて存在に気づけませんでした。

今まで金沢には何度か行ったことはあったのですが、それ以外の県に訪れたことがなかったので、せっかくだしいい機会かなと。

この旅に出る前は 、

 

富山や福井を単品で旅行する日が来るわけないだろ!!(失礼)

 

とか思ってましたが、「次はゆっくり堪能できるように計画して来たいなぁ」と思えるくらいには見どころがある良き場所が多かったです。

それでは、纏めて行きたいと思います。

 

[0日目:2018年7月27日(金)]

日中は普通にお仕事だったので、いったん帰宅し必要な荷物を取り、服を着替えて出発。 

23時ごろ電車に乗車し、東海道線で小田原へと向かう。

何故わざわざ小田原に向かうのかというと

ムーンライトながらを利用して大垣まで行くためです。

ja.wikipedia.org

※JRのホームページに紹介が見当たらなかったのでwikiを引用

 

ムーンライトながらとは簡単に言えば、「18きっぷの発売期間限定で乗車できる夜行列車」で、東京-大垣間を運行しています。夜行列車には他にサンライズ系がありますね。(まだ未乗車)

サンライズとは違い特急券は必要ないので、18きっぷさえ所持していれば指定席券を購入するだけで乗車することができます。指定席の値段は520円(当時価格)です。閑散期なら200円ほど低いです。

18きっぷは当時11850円なので日割りで考えると2370円。指定席券と合わせて2890円で岐阜の大垣まで移動することができます。現在の値段では18きっぷが12050円のため日割りで2410円なので、2930円となります。

 

これに乗車して、旅先で朝一から動こうというのが狙いです。

元々これで大垣まで出た後、四国へ乗り継いで移動しようとしていましたが、冒頭の理由から急遽予定を変更し、大垣まで出た後そのまま北上し福井入りを目指します。

 

ムーンライトながらはかなり人気のため、指定席券を取るのであれば1か月と1週間前から予約できるえきねっとから予約をするといいでしょう。(発券はみどりの窓口か券売機)

 

ムーンライトながらを利用する際のメリットは、

①安い、②夜間に動ける、③夜行バスよりは振動に悩まされない

などがありますが、以下のデメリットもあります。

・車内の明かりはつきっぱなし(アイマスク耳栓が必要な人は買っておくべし)

・座席は横一列のシート(通路の狭い新幹線みたいな感じ)

・場合によっては騒ぐ人たちと同車両になるかもしれない。

 

ネットをさぐればいいところも悪いところもより出てくるはずなので、調べた上で検討してみてください。自分は「一度は夜行列車に乗ってみたいな」と思っていたので今回使用しました。

 

それから東京ではなく小田原までわざわざ出た理由ですが、東京や横浜からだと23時台の乗車になり、18きっぷを使用してしまうと1日分消費してしまうので、0時を過ぎて乗れる場所として小田原駅から乗車することにしました。

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深夜の小田原駅。他にもムーンライトながら待ちの人が。

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ムーンライトながら到着

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ムーンライトながら車内の様子

夜間に走る列車の中から見る景色というものを楽しみにしていたのですが、中が明るすぎて窓に中の様子が反射。全く見えませんでした。悲しい。

また、幸い自分が乗車した列車ではうるさくする人もいなかったので、それなりに眠ることができました。

そして、5:50に大垣へ到着。そしてそのまま乗り換え米原へと進みます。

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6:27米原着。時間もあったので写真も撮った。

このまま北上して目的地へと向かいます。

最初の目的地は敦賀。ここにある氣比神宮へと訪れます。

氣比神宮には厳島神社の「大鳥居」、春日大社「一之鳥居(大鳥居)」と合わせて、日本三大木造鳥居と呼ばれる鳥居があります。日本三大○○と言われると見てみたくなる。

祭神は7神おり、主祭神として伊奢沙別命いざさわけのみこと)という神様が祀られています。こちらは御食津大神(みけつおおかみ)とも呼ばれています。御食津神とは食べ物を司る神様のことで、御食津から転じて「氣比」と呼ばれるようになったと言われています。また、伊奢沙別命は古くから海上交通や農漁を始めとする衣食住の生活全般を守護する神として崇められてもいます。

 

氣比神宮まではバスで移動。大体5分しないくらいで着きます。距離的に歩けますが、今回は詰められるところは詰めて移動することにしたので、時間があれば帰りは歩きます。

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敦賀駅。比較的しっかりした建物だった。

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氣比神宮へは4番線から向かいます。

氣比神宮前で降りて、朝8時に到着!

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綺麗な鳥居がお出迎えしてくれます。そこまで大きくはない。

朝を狙ったのはそのあとの行動時間を増やすためという意図もありましたが、人が来ないうちに写真とかを撮っておきたかったのもあります。特に島根の出雲大社なんていつ行っても激込みですからね。8時くらいに着くくらいで個人的にちょうど良かったです。

 

まっすぐ進んでいくと松尾芭蕉の像が出迎えてくれます。

台座にはかつて中秋の名月を見るために氣比神宮を訪れた際に詠んだ詩が刻まれています。

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”月清し遊行のもてる砂の上”と書かれています。

他に見れるところは後回しにして先に参拝を済ませます。

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拝殿前の鳥居

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晴れていたら良かったのに。。。

朝早すぎたのもあり、お守り等はまだ販売されていなかったので、お参りだけ済ませて散策。社殿の横には「九社の宮」と呼ばれる本宮と関係が深い神様が祀られている社があります。

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伊佐々別・天利劔・天伊弉奈姫・天伊弉奈彦・擬領・劔・金・林・鏡の9社

皇室ゆかりの地でもあるため、門には菊家紋が見られます。

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敷地内には以下のようなものも存在します。

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1936年に陸軍関係者から送られたというユーカリ

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絵馬堂。その名の通り絵馬が多数飾られている。

氣比神宮はそんなに広くないので、30分あれば十分回れると思います。

電車の時間もあるが、余裕はあるので帰りは歩いて駅へ向かいます。

敦賀駅から氣比神宮を繋ぐ大通りには「銀河鉄道999」及び「宇宙戦艦ヤマト」の名シーン等を再現したブロンズ像が設置されています。駅から見て右側の通りに「銀河鉄道999」、左側の通りに「宇宙戦艦ヤマト」が並べられています。氣比神宮へお参りの際には行きと帰りで違った楽しみを味わえるのが良いところかもしれません。

なぜ配置されているのかは下記写真にて。ところどころ抜けてるけどまぁ読めるやろ・・・

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銀河鉄道999」の登場人物である鉄郎とメーテル

ちなみに私は像と解説をじっくり見ながら駅に戻ったおかげで反対側にある「宇宙戦艦ヤマト」の像を見ることができませんでした。

アホだね。

訪れた皆さんは是非どちらも見ていってください。見ごたえはあります。

 

時刻にして現在8:50。

ここから1時間かけて福井駅へ向かいます。

そんなところで今回はここまで。

福井に入った後は、永平寺東尋坊一乗谷などを巡っていきます。

 

鉄道日本一周-<千葉編>②銚子

千葉の南と言えば魚介が有名ですね。

特に勝浦あたりが検索でヒットするんじゃないでしょうか。

今回は時間の都合で下車しませんでしたが、おいしい魚介をぜひ食べに行きたいですね。

とは言え、(どこでもそうですが)そういった「○○で有名な」場所というのは得てして、観光地価格に引き上げられどうしても「足元見られているなぁ」と感じてしまいます。それを考えてしまうと、行かなくて正解なのではないかという気がして足を運びたくなくなる残念な人間が私なのです。まぁあまりにも「滅多に行けない場所」ということであれば希少性とを秤にかけ、食べに行くとは思いますが、何で今回は千葉。行きたければいつでも行けるが故に一生行かない運命にあると思います。

観光地にしてもわざわざ近いと行かないですからね。スカイツリーとか。

 

[2日目:2018年9月2日(日)]

朝7時にビジホを出発。前日まで天気は雨予報だったが幸いなことに茂原は曇り。いつもだったら若干の蒸し暑さを感じる時間帯になってくるが、曇りのおかげでわりと快適に過ごせそう。

目指すは銚子の先にある犬吠埼

茂原からだと一度大綱まで出た後、外房線から東金線へと乗り換え成東へと向かい、さらに総武本線を利用し、計3階の乗り換えで銚子へ向かうことになる。時間にしてざっと2時間くらいなのでそこまで長くはない、はず。というかもう慣れてどのくらいから「長い」となるのかわからなくなってしまった。

 

銚子駅からは第3セクターである銚子電鉄銚子電気鉄道)を使います。

この鉄道の有名なところは「ぬれ煎餅」や「まずい棒」といったお菓子食品の製造販売を行っているところですね。少し前には経営が危なくなり、メディアにも取り上げられたことで話題にもなりました。

 

銚子電鉄の気に入ったところは、車両の中におススメポイントをまとめたものが掲載されており、無計画で乗りに来ても一通り楽しめるように仕込まれているところがよかったです。

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こういうのいい

その鉄道の色が見えていて色んな鉄道会社でもっとよそと差別化出来る特色が出てくれば、訪れる楽しみが増すのになぁと勝手ながら思っています。

 

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関東最東端の駅もある。それが銚子電鉄



目指すは終点手前の犬吠。間違えて最後まで乗らないよう気を付けましょう。

駅から犬吠埼までは歩いて10から15分ほど。道に関しても駅に案内図が張り出されているので迷うことはないと思います。

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道もそこまで複雑じゃない

また、犬吠駅には銚子駅から出発する列車との接続についても掲示してあり、いちいち調べなくて済むので助かります。行動時間は列車との都合を見ながら決めましょう。

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犬吠埼に着くまでには2020年1月現在、一時的に閉館している犬吠埼マリンパークがあります。イルカショーなんかで有名だったみたいですね。こちらは再開の目途がたったようなので、再開したら訪れてみたいと思います。 

 

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館前の恐竜は犬吠の崖の層が白亜紀のもののためそれを身近に感じてほしいとの思いから設置されたらしい。

検索結果

ウェブ検索結果

 ただし、モデルとなった恐竜はジュラ紀のもので、設置当時に流行った恐竜ブームに便乗しただけらしい
納得しかけたのに最後適当なのよくない。
 
犬吠埼灯台は、レンガ造りの灯台で全体が白く塗色されています。
近くにはポストがありますが、こちらも統一性を持たせるためか白く塗られています。

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中は200円の料金を支払うことで見学することができ、20分もあれば見終わります。近くには飲食店の入った建物があるので、その点の危惧はいらないかと思います。
 
ただまぁ、当たり前のことですが風が強い
その点にはご注意いただければと・・・。
 
あとは特筆して語ることもなく、帰りは時間もあったので、ここから君ヶ浜駅まで海岸を眺めながら歩いて、列車に乗車。銚子へと帰還しました。

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やる気に満ち溢れた駅やる気。銚子。

この後は、少し時間ができたので銚子から茨城を眺めに行きましたが、すぐ雨が降り出したためあえなく退却。

他にしたいこともなかったので、横浜への帰宅を決める。せっかくなのでルートは千葉県境をギリギリで通れる路線にしました。(鹿島線成田線

おかげで帰宅するのに1時間くらい多くかかりましたが、たまにはいいでしょう。

 

以下が今回使ったルートになります。

ざっくり適当に計画したため、見逃したものも多かったですが、また来る理由にもなるので問題なしです。

千葉を周るだけなら3日くらいみておけば十分鉄道で回れる気がします。4日なら完璧。

手軽に1県を巡れる場所はそこまで多くないと思うので、ぜひ計画して楽しんでみてください。

中々に楽しいものですよ。

 

今回はここまで。

 

ようやく北陸のまとめに移ることができそうだ。

鉄道日本一周-<千葉編>①館山

『千葉編』とは銘打ってみたものの、「日本一周と言うなら千葉の縁も周らないとな」という考えから2日でなぞったので、どちらかと言えば消化試合間のある旅になったものです。

実質おまけパートみたいなもの。

 

なのでサクッとまとめて行きます。二回に分けます。

訪問時期は2018年9月1日と2日です。

 

[1日目:2018年9月1日(土)]

横浜駅から横須賀線に乗ってスタート。

ひとまずの目的地は君津駅。ここで乗り換えて、館山方面へ向かう。

横須賀線とは相互直通運転なので、千葉に入ったあたりでいつの間にか内房線に切り替わってます。

まぁ、千葉駅から蘇我駅までは本来は外房線ですが、事実上内房線の扱いを受けています。

どうでもいいですね。僕もそう思います。

君津過ぎるあたりから単線になるのも意外でした。もう少し東京から離れないとないと思ってた。

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君津で乗り換え

この辺りになると観光地としてはマザー牧場がありますね。
それから、君津より千葉寄りになりますが海に浮かぶ電柱で有名な江川海岸なんてものもありますね。

今回はどちらも行きませんが。江川海岸の方は一度は行ってみたいですね。

 

最初の下車駅は浜金谷駅。ここの目的地は鋸山、つまり日本寺です。

日本寺には有名な大仏があります。この大仏は岩に彫刻されて創造されたもので、いままで見た大仏にこのタイプはなかったので、楽しみにしてました。

あと鋸山ではせり出した崖の先に行ってフォトジェニックチックな写真を撮ることもできる、通称「地獄のぞき」があります。

 

この日本寺は鋸山の上にあり、ここへ向かうメジャーなルートはロープウェイ。

浜金谷駅を降り、駅前から海沿いまで出たら左折、合計徒歩十分ほどでロープウェイ乗り場に到着します。

が、なんということか強風のため運行中止。他にはタクシーを使う、徒歩で登る(?)というものがありますが、想像以上に時間がかかってしまうため、あえなく断念。特にタクシーは一人だからこれだけで予算オーバーになりかねない。

 

今度の機会に回すことに。ちなみに、浜金谷までは久里浜からフェリーが出ており、30分位で到着するので、ちょっとした船旅気分を味わいながら行くことができます。

僕は次行くならこのルート使います。

 

さてこのまま館山に向かってしまうと想像以上に早く到着してしまうので、那古船形駅で降り少し寄り道。

 

グーグル先生の案内を頼りに徒歩20分くらいで到着。

大福寺。

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ここの本堂はなんと壁面に埋まるように建造されています。

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縁起などについては画像を参照。書くよりわかりやすい。

それにしても、9月に入ったばかりだからだろうか。いやに暑い。夏の残暑というか、夏はまだ終わっていないことを訴えるように身に応える暑さだった。

特に厳しかったのは、大福寺までの道のりで高い建物が一切なかったので、直射日光をもろに浴びてしまうこと。おかげで到着するころには汗だくで、駅近くで買っておいた500ミリの飲料水は底をついてしまった。

 

休憩がてら、本堂から景色を堪能する。

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夏はこの海辺で遊ぶ人が多いのだろうか。このあたりの地域性はわからないから想像するしかない。

また海辺なので、風が良く吹いている。火照った体にはちょうどよかった。

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それから何の用途で設置されているのかわからないもの。本当に何なんだ・・・

しばしの休息を終え、駅まで戻る。結局戻る過程でも太陽と相対することになり、また汗をかいてしまった。水分の補給はしっかりと。

 

今度こそ館山へ。那古船形駅からは5分くらい。

ここの目的地は、館山城。

館山には沖ノ島やその近くに海水浴場がありますがスルー。興味はあったんだけどね。

 

館山駅は結構おしゃれな感じ。駅周辺にそこそこ商業施設がある。

ただ、言っちゃ悪いが「駅周辺で完結している町」だった。「観光地」としてではなく「町」として。

 

館山駅から館山城まではバスを使用します。

バスはあらかじめ乗車券を購入しておくタイプ。路線バスに乗る際に初めてこの乗車スタイルに遭遇したのが多分ここだと思う。

 

バスの中から通りを見てみると呉服屋が多い印象だった。

なんか有名なのか気になる。(調べても特にそういう情報出なかったから気のせいだと思う。)

 

15分しないくらいで館山城下に到着。城下は公園になっている。

城は少し高いところにあるので、傾斜のきつい坂を登らないといけないのだが、なんと上までのシャトルカーがある模様。これを利用するかぁ、と思っていたところにちょうどシャトルカーが来た。

 

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んんんんんんんんん???????

なんだ、これは・・・。

しかも運転手が忍者の格好をしてる・・・。意味が分からない。

運転手に話を聞いてみると、頂上まで500メートルほどだが坂がきついためか、せっかく来たお年寄りの方が途中であきらめてしまうことが多々あったそう。

その対策としてシャトルカーの運用を試験的に始めて、現在は正式に運行しているとのこと。

察しのいい方なら気付いたと思うが、これは「お年寄り(=日本人)向け」の車であり、「外国人向け」ではない、ということである。運転手が忍者の格好する意味・・・。

ちなみに、シャトルカーの運行は休日のみで、平日は市役所員の出張に駆り出されているとのこと

 

くっそ目立ちませんかね、これ。まぁ、話のタネなんかにはなるだろうし、宣伝にも使えるから一石二鳥なんだろうね。

 

ちなみにこの時乗車したのは僕一人だけでした。

 

5分位で楽々館山城まで。ちなみに中に館山城ゆかりの品はほとんど(覚えてないだけでもしかしたら一切)ないです。あるのは「南総里見八犬伝」関連の品物ばかり。

まぁ、ホームページでも里見八犬伝博物館を謳っているので詐欺ではないです。

大きくもないのでそこまで時間もかからず回ることができます。

NHKの人形劇で使った人形や、江戸時代の写本とか関係する物なら何でも置いておけとばかりに詰め込まれていました。

 

南総里見八犬伝」とは、江戸時代の作家である曲亭馬琴によって創作された読本です。読本というのは、黄表紙(風刺などが込められた大人向けの絵本)や洒落本(風俗での遊び方ガイドブック)が規制された後台頭したジャンルで、これらに比べると文章量が多く挿絵が入るのが特徴。史実を取り扱いつつも内容は基本的にフィクションとなっています。ライトノベルを想像するといいかもしれません。

 

「犬」の字を含む名字を持つの若者八人(八犬士)を主人公とする長編小説で、巻数はなんと驚愕の106巻。またこの作品を書くのに馬琴は48歳から75歳までの27年間を費やしたそう。しかも平均するとおおよそ1,2年に1回5冊を出版している。
HUNTER×HUNTERなんかより色んな意味でえげつない

(生きているうちに読めなかった人が普通にかわいそう)

 

館山城は里見氏という大名が城主でしたが、その里見氏及びこの地域がこの作品の舞台になったため博物館として機能している感じですね。

 

興味のある方は是非。

 

さて、帰りは歩いて館山駅へと向かう。

海沿いから駅へと戻ったけど、駅から海沿いまで出る道の雰囲気良かったです。

ちょっとしたリゾートっぽさが出てて綺麗でした。

(写真撮ったはずなのに消えていた・・・)

 

それはそうと、館山は駅前に小さい郵便局があったけど、行ったときは閉まっていて困った。他にも郵便局はあったけど駅から少し離れていて不便でした。

やはり、駅周辺で完結する街、というのは便利なようでそうでない不器用さを抱えているように思いますね。

 

この後は、携帯の充電がぎりぎりだったため安房鴨川駅まででて、マクドナルドで充電。ネットで調べたら「コンセント有」って書いてあったのだが行ってみると全く見当たらない。記載ミスかなぁと落胆しながら一応店員さんに聞いてみると、なんとバックヤードから延長コードを持ってきた。だが見た限りどこにもコンセントがなかった。何処に差すのだろうか。。。と考えているとなんと出入口横にあるごみ箱を動かした。

するとその後ろからコンセントの差込口が現れたのだ。

コンセント有表記でまさか延長コードが出てくるとは思わなかったですが。

 

災難だったのは、その延長コード届く距離の席が入口をまたいだ先にしかなかったということ。

入店してくるお客さんの足を引っかけてしまいそうになるのはとても申し訳なかった・・・。

 

程よく充電出来た後は、安房鴨川を出発し茂原駅で下車。

ここは個人的に気に入った街でした。飲み屋もほどほどにあって、近くに生活用品を買える場所がある。かつそこまで人が多くない。遊べる場所はなさそうだけど千葉駅まででれば問題ない。千葉に住むならここがいいなぁと感じました。地域文化とか天候とか知らないから絶対いいとはまだ言えませんが。

 

そして晩御飯は「中華そば鷸 (シギ)」さんでいただきました。

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泡系ラーメンというのを初めて食べたのですが、かなり癖が強いんですね。。。

おいしかったのですが、自分はあっさり系が元々好きだったので、これからたべることはあんまりなさそうです。。。

 

この後ビジネスホテルにチェックインして終了。

小さめの昔ながらのビジホという感じでした。

 

翌日はこのまま北進して、銚子へ向かいます。

 

つうか本当に写真撮ってなかったんだな・・・。せっかく行ったのに。

【レビュー/感想】マジックで描く青春ミステリ『午前零時のサンドリヨン』

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今回は右の作品。左は続編。

ティーンズが主人公の本は、本の世界に没頭した際にこちらもそのくらいの年齢のつもりになれるから好きです。

当時をやり直したいという心の表れなのかもしれません。

実際には戻れなくても本を媒体として懐かしんだり、後悔したり、自分の心に働きかけるトリガーになるので、個人的に好きなジャンルになります。

あと登場人物が恋愛してる作品が多いので、ほっこりします(笑)

 

さて、今回紹介するのはこちら

www.tsogen.co.jp

 「午前零時のサンドリヨン

2009年出版なので今から10年も前の作品になります。(というか2009年がもう10年前という事実に驚きを隠せない・・・。)

 

先に言っておきますが、ネタバレはほとんどないと思います。

ミステリでもあるので、気になった場合は実際に購読してみてください。

あとレビュー・感想とは書いてますが、ネタバレを控えながら書くので、がわだけ抜きとった印象になっています。

 

話のあらすじとしては、教室でいつも一人で、物憂げな表情を見せるクールな女の子、「酉乃初」に一目ぼれした「須川くん」はある日姉に連れられ、マジックが見られるレストランバーを訪れる。そこで驚きの光景を目撃する。それはいつもと違う、初めて触れる声や表情でマジックを披露する酉乃さんの姿だった。その日から、学校で起こる不思議な出来事を通して、須川君は酉乃さんと距離を縮められるのだろうか・・・といったものです。

 

ジャンルとしては【ミステリ×青春モノ×(微)恋愛】といったところ。

本作の特徴としては、ミステリを楽しめるのは勿論ですが、どちらかといえば、「なぜ事件(あえて”事件”という表現にするが)が起こったのか」といった原因に由来する登場人物たちの心情の変化や抱えているものに焦点を当て、思春期の少年少女たちに生じやすい葛藤を丁寧に描写しているところにあります。

 

この「高校生の描写」がまた何とも言えないリアリティを感じさせてくれます。

「確かにこの年齢の子たちならそういった考えをするだろうな」と表現にわざとらしさを感じさせずにそう思わせてくれるのがとてもgood。

 

基本的に須川君の一人称を視点に話が構成されており、謎にまつわる情報を集め、(人助け半分、お近づきになりたい気持ち半分の「協力してもらう」という口実で)酉乃さんのところへ持っていく流れになっています。

 

さてここで須川君の紹介をしたいと思います。

彼は「男女ともに仲のいい友達が多い」というこのタイプの小説にしては結構珍しい人物だと思います。そもそも偏見ですが、現実に読書が大好きという高校生は「顔が広い」といえるキャラクターを持ち合わせている人は少ない気がします。。。

ただ、サンドリヨンの世界では文科系の部活(またはそういった活動が好きだという人)が中心に出てくるので、世界観を壊さない設定にしているのかもしれません。繋がりが広ければ話を展開させやすくなりますからね。

話が脱線しました。

須川君の性格ですが、「困っている人をほっとけない」タイプの人間で好感が持てます。最近流行りかどうかは世間事情に疎いのでわかりませんが、無気力・やれやれ系ではないため積極的話の中心へ絡んでいきます。

とは言え、謎を解くのは彼ではないため、同ジャンルの他作品と同様に探偵役は彼に巻き込まれて事件解決という形になります。

まぁ、探偵役で自己完結していたら他の役がいらなくなってしまうので、仕方ないところですね。人間関係を通した心理的成長を描くのには交流は必須ですから。

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よくない


そしてこの須川君は酉乃さんとお近づきになろうとするのですが、意外とヘタレではない。積極的に酉乃さんとお昼を一緒に食べようとするし(流石にみんなのいるところでは誘わない、誘えない)、なんとか会話をしようと話のタネを探して繰り出す。昨今にあまりみない、受け身ではない姿は応援したくもなります。たまに地雷を踏みぬいて酉乃さんを静かに怒らせるのはしょうがない。 

 

ここから少し注意点。

 

本作は、「マジック(手品)」というのが核に据えられているのですが、勘違いしてはいけないのが「必ずしもトリックの種にマジックが使用されているわけではない」という点。使われている話も勿論ありますが、基本的には酉乃が不器用な自分の心を伝える手段として用いられています。全てが『マジックを使って何か事件を起こす話(=酉乃さんがマジックを用いて事件を概要を暴く話)』だと思って本書を読むと「ん?」と感じる箇所が出てくるかもしれません。

 

それから個人的に一番違和感を持った部分がありました。

それは物語初期における須川君の行動です。

須川君がほぼ推理をしないのです。「探偵役は酉乃さんなんでしょ?おかしくないでしょ?」と思われる方も多いと思います。

どういうことかと言うと、須川君は冒頭で酉乃さんに対して「ミステリが好き」と発言しています。

 

高校生くらいであれば、「ミステリ好き」を自称している以上、不思議な事象に遭遇した際には、まずは自分の力で推理し謎を解きにかかるものだと思うのですが、須川君は最初から努力もほぼせず「酉乃さん頼み」だったのがどうにも引っ掛かりました。まぁ、私の「高校生はこういうものじゃないのか?」という価値観の問題でもあるので、「そういう人もいるだろう」で解決する疑問点ではある。あまり細かく気にしなくてもいいのかもしれません。

 

ただ、視点を変えて後半における須川君の成長への布石、「謎を解くこと<酉乃さんと仲良くなること」などを考えるとこの点は納得しやすいと思います。

 

とは言え、「ミステリは好きじゃない」と明言している酉乃さんに話題に困るからってミステリ小説の話や遭遇した謎が不思議(ミステリ好きとして謎を解明したい)だからと手伝ってと言って持ってくるのは悪手じゃないかな、須川君。。。

 

ただ、須川君が見て聞いたものを酉乃さんがまとめて答えへと導く、という形は二人がそろって始めて完成するという「互いの足りない所を補い合うに人間の在り方」を示しているようにも取れます。色んな意味で一つになれるのか、見どころですね。

 

本書は全体で380ページですが短編4つからなっていますので、気張らずに読めると思います。面白いのでぜひ、読んでみてください。 


読み終わったら続編である「ロートケプシェン、こっちにおいで」も手に取りましょう。

あちらはまた構成が少し変わっており、より読みやすく程よいシリアスも楽しめます。

 

今回あまり酉乃さんに触れませんでしたが、彼女の掘り下げが本作の中心になるので、ネタバレになるかもと書くのは控えました。

ただ、最後に少しだけ書こうと思います。

割とネタバレしてると思うので見たくないなあという場合はここでブラウザバックでお願いします。

 

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 酉乃さんは『フェイ(魔法使い)』になりたいのだと言う。しかしそれは彼女の抱える心情の裏返しだ。誰かに必要とされる存在でありたい、そんな思いから魔法で誰かを救いたいと彼女は願う。1度は傷つき、その恐怖から他人とは関われなくなったとしても寂しさからはどうしたって逃れられない。そう、『魔法をかけてくれる存在』を誰より求めているのは酉乃さんに他ならない。

 

さあ、酉乃さんの謎を暴け。

彼女の『フェイ』になれるのは君しかいないのだから。

【レビュー/感想】救いをここに。『劇場版 すみっコぐらし』

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『すみっコぐらし』の絵は著作権があるので、チキって風景写真を貼りました。

12月1日は「映画の日」らしいですね。

1896年に神戸市において日本で初めて映画が上映された11月25日にちなんで制定された記念日とのこと。(11月25日じゃきりが悪いから12月1日になったらしいです。)

この日は全国の映画館で割引などの記念事業が開催されています。

せっかくなのでこれを利用して映画を見ようと思い立ち、いろいろ探しているうちに見たい映画を発見。

 

それがいま巷で噂のこの映画

www.san-x.co.jp

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』

子供向けアニメの映画とのことですが、どうやら大人が見ても面白いらしい。

気になったので、この映画に決定。

さっそく映画を見てきたので、その感想を載せたいと思います。

ネタバレありになるので、ご注意ください。

 

ちなみにこの映画を知るまで「すみっコぐらし」というものを存じませんでしたが、この記事を書くために調べてみると小学生くらいがターゲットになるアニメみたいですね。よく知りもしないけど、めんどくさかったのでほとんど事前情報一切なしでいきましたが、十分すぎるほど楽しめました

 

映画の券は当日劇場で買いましたが、ほとんど満席。「そんなに人気のコンテンツなのか・・・?」と少しビビる。空いてる回を探してなんとかチケットを購入。目的の回より2つも後ろになってしまったが、満席になるくらいだから逆に期待が持てそうだ。

 

上映時間になりシアターに入るとそこには大勢のちびっこが。

小学生もちらほら見えるから結構幅広く愛されているコンテンツなんだなと思うと同時に、「なんか物凄く場違いなところに来てしまったのでは」という恐怖心が心をじわじわ満たしていく。

よくよく見てみると子供の大半が女の子とその保護者。

シアター自体も少し小さいのでなるほど、満席になるはずだ。と冷静に思考しながら、気分はまるでプリキュアおじさん

「お願い通報しないで!」と震えながら座席へ着く。

 

そして映画が始まる。以下映画のあらすじ(公式サイト引用)

ある日すみっコたちは、お気に入りのおみせ「喫茶すみっコ」の地下室で、古くなった一冊のとびだす絵本をみつける。
絵本を眺めていると、突然しかけが動き出し、絵本に吸い込まれてしまうすみっコたち。
絵本の世界で出会ったのは、どこからきたのか、自分がだれなのかもわからない、ひとりぼっちのひよこ・・・?
「このコのおうちをさがそう!」新しいなかまのために、すみっコたちはひとはだ脱ぐことに。
絵本の世界をめぐる旅の、はじまりはじまり。

映画の冒頭で各キャラや世界観の説明が入る親切設計なので、初見でも安心。

ガンダムOOみたいに置いてけぼりにならないよ!(当たり前) 

あと観客が子供ばかりなので昨今話題になっている、スマートフォンを上映中にチェックするような人間はおらずマナーのいい観客ばかりなので、快適に映画が見れます。

みんな子供を見習え。子供でもいい悪いはちゃんと判断できるんだぞ。

 

まあ、まず見終わって最初に出た感想は、

 

遠慮するな、対象年齢何歳か言ってみろ。

というものと

ハッピーエンド・・・?

の二つ。

 

絵本の中に吸い込まれてしまったすみっコたちは、迷子のひよこと出会い、ひよこのおうちを見つけるためにいろんな物語の登場人物にあてがわれながら様々な絵本の中の世界(マッチ売りの少女、人魚姫、赤ずきんなど)を冒険する。

お話自体はほのぼのしており、緩い感じに進んでいくが、一向にひよこの居場所が見つからない。

 

それもそのはず、ひよこはその本の白紙のページに描かれた、ただの落書きに過ぎなかったからだ

その白紙のページにはそのひよこ以外は存在せず、ずっと一人でさみしくなったひよこは仲間を探すための旅に出たのだ。

 

しかし、ひよこは「どこからきたのか」といった自分のことは何も覚えておらず「仲間を見つける」ということだけを覚えていたところ、絵本の外からやってきたすみっコたちと遭遇し仲間だと認識する(おそらく共に「本来の絵本にとって異質な存在」なため)。

そしてすみっコたちはいろんな世界(ページ)を巡りながらもようやく最後のページ「白紙」に到着し、ひよこはすべてを思い出す。

冒頭とこの時ひよこの体にノイズがかかる描写はなんとも言えない重さを感じさせる。

確かに「ひよこが出てくるメジャーな童話なんてあったか?」と思いながら鑑賞していたが、

居場所なんてものは最初からなかった

なんていう衝撃の展開に思わず息が詰まる。

 

ひよこの話を聞いて、これまで一緒に過ごしてきたすみっコたちは「(絵本の外へ出て)一緒に暮らそう」と提案する。独りぼっちだったひよこはとうとう本当の仲間を見つけて、絵本を飛び出しみんなで仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし。

 

なんて言うとでも思ったか?

 

外に出られる穴を見つけたがそれは遥か上空。

すみっコたちとひよこは他の物語の世界から持ってきた材料で、即席の塔を作っていく。そして、最後にひよこが頂上に台を置いて塔が完成し、穴に触れるが何故かはじかれる。そう、あくまで絵本に書かれた存在であるひよこは絵本の外に出られないのである

 

すみっコたちと一緒に暮らせることを希望にして、一生懸命塔を建設していたひよこの心情を思うと心が張り裂けそうになる。

 

どうあがいても出られない現実を前にひよこは悟る。

そしてすみっコたちが現実世界に帰る姿をひよこはただ、塔の下から眺める。

すみっコたちもひよこが外の世界に出られないことを知るが、どうしても割り切れない。しかし、現実世界への穴は次第に小さくなっていく。

 

ひよこは悲しそうに手を振り、すみっコたちもまた現実を受け入れ穴から絵本の世界を脱出する。外に出たすみっコたちが見たものは、白紙のページに一羽だけ描かれている落書きのひよこ。

 

すみっコたちは現実世界に無事帰り、迷子のひよこも元居た場所に戻れてよかったね!

 

んなわけあるか。

 

一応最後にはすみっコたちが白紙のページにひよこの仲間やおうちをつけたして、にぎやかにする様子が描かれてる。が、それにしても、完全なハッピーエンドではないですよね?すみっコたちが基本ネガティブな性格をしているということは、会社の後輩からは聞いていたが、ネガティブのベクトルが違うだろ

 

最初の方は緩くてかわいいお話が展開されていたが、終盤になるにつれて不安な影が濃くなっていく。特に中盤で一足先に元の世界に戻るすみっコが現れるのだが、身に着けていた絵本の世界のお花が穴にはじかれる描写があり、伏線も綺麗に張られており感心した。

 

とは言え、ひよこはひよこの世界(白紙のページ)で生きていくしかなく、たまたまとは言え外の世界からやって来たすみっコたちと出会えたことで、白紙をにぎやかにしてもらえたのは不幸中の幸いと言えるだろう。

 

結末を要約すると

 

自分の居場所と仲間を探しをしていたひよこは、決して一緒にはなれない仲間と別れ、その仲間たちに居場所とひよこ仲間を与えてもらう

 

という、とても「解決してよかったね!」なんて言えない結末となっている(子供向けの話を曲解しすぎている節は自覚している)。

 

映画が終わった後、「絵本から出て『みんな仲良く暮らしましたとさ』じゃ駄目だったんですかね・・・?」という思いがあったが、何か意図があるのだろうか。

個人的には、

「どんなに嫌でも現実を受け入れる強さ」を子供たちに覚えてほしかったのではないかと思う。

この先、生きていく中で絵本の中みたいに幸せなことばかりではなく、辛いことや認めたくないことに遭遇する。絵本とすみっコたちが暮らしていた世界を決して相いれないものとすることで、絵本みたいな世界はあくまで絵本の中だけ。マイナスなこともこの世の中にはあるけれど、それを乗り越えなければならないことが必ず来るということを作品として描いているような気がする。

 

最終的な感想としては、とても良く出来てる映画。

ただ、終盤まで基本単調な話が続くので、飽き性にはつらいか。

とは言え時間も広告を除いて1時間くらいなので、ちょうどいい時間だと思う。スマホを見るのが我慢できない若者もこれなら大丈夫(くどい)。

 

問題はイオンシネマでしか上映していないという点。

他の劇場でも公開すれば気軽に見られるだろうに。場所が限定されるのは少しもったいない気もするが、こればかりは仕方ないか。

 

みなさんもぜひ公開が終わってしまう前に見に行かれてはいかがだろうか。

心が癒されるかはあなた次第だが、考えるべきことが生まれるかもしれない。

「日常の謎」の魅力に惹かれて

読書のジャンルには様々あるが、個人的な感覚として「ミステリ」は比較的読みやすいジャンルだと思う。

 

謎が提示され、解決のために登場人物が奔走し、謎を解明する。一定の流れがありそれを辿るように読むため、どういう動きをしているのかがわかるためという理由である。

勿論、登場人物が集めた情報を基に読者が結論を推測するというのも楽しみ方の一つであり、没頭する人も多いだろう。ただ、この読み方は少々疲れてしまうだろう。(解明の段階で新たな情報が提示されることも多々あるためそれまでの独自の推理が水泡に帰すこともある。)

答え合わせができるのも醍醐味ではあるが。

 

なんにせよ「これからどうなるんだ!?」と未知の展開に心的負担を抑えられるのがある種のメリットであると思う。

冒険譚など、先の展開にはらはらどきどきしながら読みたいもの数多くあるが、本を手に取った時の心境次第によっては、無感情に本を読みたい時などもあるだろう。そういった時に読む本として一つの選択肢として「ミステリ」をオススメする。

 

さて、そんなミステリの中でも「日常の謎」というジャンルを今回取り上げたい。

日常の謎」とは日常生活の中において、ある時ふと生じた疑問を取り上げ、その謎を解明するという形式をおる作品である。

取り扱う謎は、ほとんどが犯罪などではなく、すべてではないが例えば、「なんであの子はあのお店にいたのか」「教室から椅子が一つなくなったのはどうしてか」などのような『ほんとどの人が気にも留めないけれど、確かに不思議だ』といったような謎を取り上げる。

場合によっては犯罪も取り扱っている話もあるが、比較的ライトな話題であることが多いため、気軽に楽しめるのが魅力である。(その話の結論として重くなってしまうことはある。謎事態に重みがないものが多いという意味である。)

また、取り扱う謎が些細なものであるため、長編には向かず、基本短編集という形をとる。これも読みやすさに繋がってくる。

また、その気質から青春(学園)モノとの相性がよく、転じて(露骨かどうかはさておいて)恋愛要素を兼ね備える作品もある。また、時間が進むにつれ登場人物たちの心理を掘り下げることも多く、人間的な成長が描かれることがしばしばある。

このジャンルの有名な作品だと米澤穂信の「氷菓」などがあげられるだろう。

www.kadokawa.co.jp

上記の説明から察せるとは思うが、ターゲットとしてはティーンズ向け(つまり本自体はライトノベルだ)である。しかし、謎のギミックは本格ミステリにも引けを取らないものも多く、どの年代が読んでも十分楽しめるだろう。そもそも主人公が高校生くらいの年齢ではない場合もある。

 

では、日常の謎の魅力とは何か。それは親近感・再現性である。

ミステリでは「殺人」がよくでてくるが、果たしてどの程度の読者が実際に体験または遭遇したことがあるだろうか。結果としてそれは「読者のこれまでの経験から想像された事件」であり、登場人物たちの行動原理に対する介入も「そういう状況なら多分こうなんだろうな」と考えられたものになってしまう。

 

一方、日常の謎ではその性質上、取り扱うものが「身近にあるもの」であることが多い(例にも挙げた教室の椅子や他にもその人物の境遇など)。普段から慣れ親しんだものが話題の中心に持ち上げられていると言える。また、先にも記述したが、高校生くらいの人物たちが登場人物であることが多く、その心理を描かれるものが多い。そして読者にターゲティングされているのがティーンズである以上、その読者は思春期を経験中か経験済みである人間がほとんどであろう。そのような作品と読者の関係がある故に、登場人物たちを取り巻く環境から生じる心の痛みや考え方の変化といったものに対して、自分の内側にもある何かを感じ取ることができるだろう。

 

つまり、多感な思春期を理解しているため、ほとんどの読者は作中の人物に感情移入しやすく、その幼稚さやある種の経験を通して発展した心の成長といったものに理解をしやすい(と私は思う)のである。

 

自分の外側にあるもの・自分の内側にあるもの、両者が掛け合わさることでより強い親近感を作品から感じ取るだけでなく、「確かに高校生くらいの年だとこんな感じだよな(だったな)」といった当時を振り返る再現性が手に入る。

 

これは言い換えるなら「身内ノリ」に近い面白さであると表現できる。

「身内ノリ」とは、大雑把な表現をしてしまえば「普段から親しみ過ぎていない自分(達)が知っている事柄を再確認する」行為であるが、これを万人が共通して得られるのが「日常の謎」の恐ろしいところであり、素晴らしいところだと思う。

 

さて、本来はこのジャンルについての説明として少々触れて、その後ある作品をレビューしたかったのがここまで長くなってしまった。長々と記述してしまったが、それだけ魅力を持つジャンルであると理解いただければ幸いだ。

 

手に取る方が増えることを願いながら、今回は筆を置く。